相続・遺言

「相続・遺言の手続きをしたい」

相続とは、人が亡くなられた時に、相続人が財産や借金を相続することを言い、亡くなられたときから開始します。

亡くなった方を「被相続人」、所有していた財産を「相続財産」、その財産を承継する人を「相続人」と言います。

相続人には、民法で定められた「法定相続人」と、遺言で指定された人等があります。遺言は、自分の財産を誰に承継させたいかを生前に表明するもので、その方法は法律により定められており、公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。

遺言作成や相続手続きには、専門的知識が必要です。あなたの街の法律家「行政書士」は、頼りになる専門家ですので、お気軽にご相談ください。

相続人とは誰?

「相続人」とは、民法で定められた「法定相続人」と、遺言で指定された相続人のことを言います。

法定相続人には順位が定められていて、上位の者がいない場合に下位の者が相続人となります。
被相続人の配偶者は、常に相続人となります。被相続人の子と兄弟姉妹で相続開始前に死亡している場合等は、その人の子が相続人となります(代襲相続)。

▼法定相続人の一覧表

相続順位 相続人
第1順位の血族相続人 被相続人の子
第2順位の血族相続人 被相続人の直系尊属(父母・祖父母)
第3順位の血族相続人 被相続人の兄弟姉妹
配偶者相続人 被相続人の配偶者

各相続人の相続分は?

相続人が複数いらっしゃる場合、その相続分(遺産を分ける割合)は、民法により定められています(法定相続分)。

被相続人が遺言によって指定した相続分があり、それを優先した結果、法定相続分の分配がない場合には、相続財産の一定割合を遺留分として請求することができます。ただし、兄弟姉妹は除かれます。

▼法定相続人の一覧表

相続人 法定相続分 遺留分の割合
配偶者+子 配偶者

2分の1

被相続人の財産の

2分の1

2分の1

配偶者+直系尊属 配偶者

3分の2

被相続人の財産の

2分の1

直系尊属

3分の1

配偶者+兄弟姉妹 配偶者

4分の3

被相続人の財産の

2分の1

注:兄弟姉妹には遺留分なし

兄弟姉妹

4分の1

血族相続人のみ 全部 兄弟姉妹のみの場合

なし

直系尊属のみの場合

被相続人の財産の3分の1

配偶者のみ 全部 被相続人の財産の

2分の1

※被相続人の死亡年月によって法定相続分が異なりますので、注意が必要です。

相続の手続きは?

相続の手続きは、相続人を確定「相続関係説明図」し、相続財産を調査「相続財産目録」し、相続財産の分配方法を協議「遺産分割協議書」しなければ処理できません。

相続関係説明図

相続人を確定して一覧表にまとめたもので、相続人が誰であるか一目で確認することができます。この調査には、被相続人が生まれてから死亡したまでの戸籍と相続人全員の戸籍・除籍・戸籍の付票等が必要です。

相続財産目録

相続財産をリストアップ(不動産・預貯金・有価証券・動産など)し、相続財産額を算出し、相続財産の分け方を協議するための参考資料です。この調査には、名寄せ帳・固定資産評価証明書・預金残高証明書・有価証券評価額計算書・専門家の評価書等が必要です。

遺産分割協議書

相続人間で相続財産の分け方を協議した結果を、書面化したものです。この書面には、相続人全員の署名と実印の押印が必要です。相続の合意内容を対外的に証明する資料で、預貯金の解約や有価証券の名義変更、不動産の相続登記等に使用します。

以上が相続の入り口からの作業で、登記を要する場合は司法書士が、相続税の納付には税理士が手続きして作業終了となります。

行政書士は、農地法・都市計画法・建築基準法等にも精通し、相続手続き全般についてお手伝いできる専門家です。司法書士や税理士とも連携して対応しますので、ご安心してご相談下さい。

「遺言」の方法は?

遺言の方法は民法で定められており、普通方式と特別方式があります。

一般的な普通方式としては「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3通です。
特別方式は、死亡の危機が迫っている場合、強制隔離された場合、船舶遭難に遭った場合等があります。

「遺言」を書ける人

15歳以上の方なら遺言を書くことが出来ます。

満15歳になれば、誰でも自由に遺言することができます。ただし、遺言する場合に正常な判断能力がないと後々トラブルに発展する場合がありますので、専門家にご相談下さい。

高齢者や認知症の疑いがある人の「遺言」

「事理弁識能力」が求められる場合があります。

高齢者あるいは認知症の疑いがある人が遺言する場合には、「事理弁識能力」が求められています。
この能力の判定は非常に難しいため、専門家の立ち会いの下に行うことが、後々のトラブル防止となります。

公正証書遺言のメリット

遺産分割の協議が不要になります。

公正証書遺言では、遺言書の内容に従って相続財産が承継されます。
遺産分割の協議は不要です。つまり、全法定相続人が集まって遺産分割を協議する必要がなく、同意もいりません。

ただし、兄弟姉妹以外の法定相続人には遺留分がありますので、注意が必要です。また、公正証書遺言書に記されていない相続財産がある場合には、その財産について遺産分割協議書の作成が必要です。

公正証書遺言の作成

公正証書遺言は、公証役場で作成します。2人の証人が必要です。

公証役場での作成の際、2人の証人が求められます。

  1. 公証役場に予約電話
  2. 遺言の内容を説明
  3. 遺言作成に必要な資料を整える
  4. 遺言内容と資料のチェックを受ける
  5. 公証人が本人と証人2人に内容説明した後、公正証書に署名捺印

となります。資料の収集や遺言内容の是非の検討も大変ですが、公証役場に少なくとも2回行く必要があります。
これらの作業のお手伝いとして、行政書士はあなたの街の法律家です。お気軽にご相談下さい。

公正証書遺言の「証人」について

証人になれる人には条件があります。

未成年者や推定相続人、受遺者や配偶者・直系尊属などの方は証人になれません。証人になる資格がない方が署名押印した場合は、その遺言書は無効となります。証人が見つからない場合は、行政書士などの専門家にご相談下さい。

遺言の「執行者」について

遺言を作成した場合、多くの場合、遺言を実行してもらうために遺言執行者を指定します。

遺言執行者は、その実現に必要な一切の行為を職務として行います。そして、その職務遂行にかかった費用及び報酬は、相続財産から支出されます。
相続について利害を持っていない、そして相続に関して知識と経験がある人を指定するのが望ましいとされています。

遺言が見つかった場合

家庭裁判所での検認が必要になる場合があります。

遺言者の死亡後において、遺言書の保管者または発見者した相続人は、遅滞なく家庭裁判所にて遺言書の検認を受けなければなりません。
特に、「封印された」遺言書は、勝手に開けてはいけません!
封印された遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立ち会いがなければ開封することができない事になっています。
公正証書遺言書の場合は、検認の必要はありません。